日本の歯科の現状③不連続シリーズ・・・自分への投資
他の先進国とくらべて、日本の歯科医という職業が極端に人気が低いということが、特殊であるということを①、②で書きました。
ではなぜ日本だけなんでしょうか。そしてなぜ人気が下落したのでしょうか?
それは前述したとおり、
理由、その1
日本の歯科医があまり儲からなくなったから・・・。←これ最大の理由です。
まあ歯科に限らず、日本の医療保険制度が今や儲からない仕組みになっているわけです。儲かる儲からないという言い方をすると、「医療を食い物にしている、もうけ主義だ!」と非難されるかもしれませんが、そうではありません。日本の医療法人の90%は実は赤字だといわれています。
昔、ある有名な名医がこういいました。
「貧乏な医者に名医はいない」と。
昔なら掘立小屋で、無料で診療して『赤ひげ先生』なんてのもあったんでしょうが、現代医療は不可能なことです。特に歯科は外科的治療(歯を削るとか、観血的治療とか)が多く、材料や機械がなかったら、ほとんど何もできません。
さらに技術は日進月歩です。正直言って、私が大学で習ったことの多くが今では間違いであったり、時代錯誤なことになっています。
器械や材料、技術もどんどん新しくなっています。そのためより良い技術、材料器械を導入するには、多大なるお金が必要となるんですね。
医学書っておいくらくらいするかご存知でしょうか?
3000円だとすごーーーく安いと感じます。
1万円~3万円なんてのもざらです。
歯科の治療台のチェア、あれ1台の値段は250万円~500万円程度です。
大学卒業後どうやって学ぶかというと、勤めている院長から・・・というのもあるんですが、学会やセミナーで多くを学びます。
セミナーの参加費は1日あたり1万円~8万円くらいします。有名な研修会なんて1日10万以上のもあります。
研修は大都市であります。交通費、宿泊費・・・・・・・(汗)。
海外で研修や世界的学会もまれではありません。
この費用をどうやって捻出するか????
要するに給料が安かったり、経営がうまくいってないと、歯科医としての向上はできないのです。
最近歯科医でもワーキングプアという言葉がつかわれるようになりました。歯科医で収入が少ない人が多いということで。
卒業したての歯科医は、せいぜい月に20万~30万円くらい。
そりゃあ卒業したての先生なんて、衛生士さんや歯科助手さんとくらべてもほとんど何もできないし、ぎゃくに邪魔になるだけですから当然です。
若い先生たちがセミナーに行ったり医学書をかうお金をどうしたらいいか・・・。はっきり言って無理なんです。つとめたところの院長先生に恵まれたら、費用を補助してくれることもありますが、そういうところのほうが少ないと思います。
一番勉強したい若いときにお金がないとなると、質素倹約しセミナーに行くか、ローンするか、行かないで我慢するか、稼げるようになるまで親にお願いするしかないわけです。
貧乏だといい医療人になれないという理由が少しおわかりいただけたでしょうか。
一人前になるまでにも、なってからでもとにかく自分への投資が必要なのに、ある時期以降、日本の歯科界全体で収入がへっていったのです・・・・・。つづく
ブログを書きはじめて10年以上経ちました。プライベートな事や歯科治療・地域の話題など、書いた当時は一般的だった内容や表現が今では適切ではないものもございます。過去の記事をご覧になる際は予めご了承ください。