エンドセミナー アドバンスコース
11日の日曜日は歯内療法(ENDOと業界ではいいます)のアドバンスセミナーにいってきました。
なんどか書きましたがエンドというのは歯の神経、もしくは神経のあった場所に関する治療ですね。
概してこのエンド、日本では歯科医側もやりたくない治療であり、患者さんもこの治療が一番嫌だと思うかたが多いと思う分野です。エンドという治療をしなくてすんだら、患者さんは世の中で半分になるでしょう。それくらいエンドというのは一般歯科治療からきってもきりはなせないものなのです。
ではなぜ患者さんはいやか。
①すごく期間と回数がかかるから。
②1回の時間がかかるから
③時々治療が痛いから。(麻酔がきいてれば痛くないですけど、麻酔しないでやることもあります)
④治療後に痛くなることが多いから。
などなど
なぜ日本の歯科医がやりたくない治療か。
①全く採算がとれない分野だから。
②治療がものすごく細かくて手間暇かかるから。
③トラブルが多いから。
④時間・回数が多いから。
などなど
まあここだけの話・・・、というわけではないんですが、最大の理由は①です。すごく大変なのに材料費の方が高かったり・・・。
エンドの専門医をエンドドンティストというのですが、日本にはエンドドンティストはあまりいません。しかもすべて保険内でしているエンドドンティストは皆無に近いんじゃないでしょうか。
日本のエンドの専門医はほぼまちがいなく自費診療でやっていると思います。
歯の神経の治療に10万円とか・・・で。
歯科医の中にも人気な治療とそうでない治療とがあります。医療なのに人気とか不人気とかっていうのは、一般の方には不自然に聞こえるかもしれませんね。
現状はよく知りませんが、昔は医科では外科が花形だ!と聞かされました。今はもっと細分化されているでしょうから、脳外科とか、心臓外科っていう風になるんでしょうかね??
日本の歯科ではインプラントとか審美歯科って感じでしょうか。
花形と言われる分野に共通することは、ビフォーアフターで劇的に見た目機能も変化することですね。治療がきちんと終われば患者さんもものすごく喜ぶ分野ですからね。
それに引き替えエンドというのは患者さんに劇的変化がわかりにくいですね。地味な治療なわけです。
しかし業界でもあまり知られていないのですが、歯科先進国のアメリカでもっともステイタスの高い歯科医はエンドドンティストだそうです。
エンドドンティストだっていうと
「すごいですねー」って。
下世話な話、アメリカでエンドドンティストというと収入的にも超セレブですし、
歯科医の中でもっともリスペクトされる存在らしい。
ちなみに日本で、保険だけでエンドの専門医をしているひとがいたとしたら、生活がジ・エンドになります(笑)。材料費や手間暇ばかりかかってしまうからです。
前いいましたね、他のどの国でも1本7万円~15万円かかる治療を、日本では8000円の報酬しかないんです、と。物価の安いフィリピンの1/10程度の報酬です。
つまり、日本の歯科医からすれば「やってらんない、バカみたい」ってわけです。
日本以外では、患者さん自体が、エンドの重要性と、むずかしさ、費用がかかるという認識が高いんです。
エンドというのは建築で言えば、施主さんがみえない部分、柱であったり土の中の基礎工事にあたります。つまりここがしっかりしていなかったら、いくらきれいな白い歯をいれても全くダメ。耐震偽装建築というわけです。
とはいっても施主さんが新築完成したときに、
基礎工事会社の方に
「ありがとうございました、あなた方がMVPです。スペシャルサンクス!」という風にはまずならないですよねー。
どうしても華やかな存在は大工さんとか、設計士さんですよね。素人が見た目にわかりますから・・。
同じように・・・・
エンドは地味なんです・・・・・涙
いい治療やっても患者さんにはわからないし、赤字部門だし、もっとも細かい治療だし・・・・。
歯の神経は細かく複雑で、0.1ミリ以下の細い穴から神経ととったり、感染部分を除去していきます。
0.1ミリ、0.1ミリ以下ですよ!!
見えませんって!
子供のころ、おばあちゃんから裁縫時に
「針に糸通して」とよく頼まれました。
難なくとおすと
おばあちゃん:「すごーね、上手ねー」と褒められました。そんな経験みなさんはないですか?
直径が裁縫針の穴の数十分の1の穴で、長さが10~20ミリの管の掃除をするということ・・・・・
大変そうだと思いません??模型で練習です↓
・・・・・・と、まあ嘆いても絶対に避けられない分野ですから、お勉強お勉強!と。
この治療をよりよくするために器械を買ったり、ドリルを買ったり・・・・
高いんだ、これが(涙)
高いものを買っても、高い材料使っても、患者さんから多く費用をいただくわけではありません。規定以上の報酬を請求すると罰せられますからね。
参加している先生方皆さんそうでしょうけど、こういう投資はより良い治療をするための探究心と、半分は趣味です(笑)
ブログを書きはじめて10年以上経ちました。プライベートな事や歯科治療・地域の話題など、書いた当時は一般的だった内容や表現が今では適切ではないものもございます。過去の記事をご覧になる際は予めご了承ください。