日本の歯科の現状リターンズ① TPP
たまにはアカデミックな話題を。
日本は基地問題、震災復興、原発、円高、TPPともう首相でも逃げ出したくなるような大きな問題山積で大変ですね。
世界でもタイの洪水、ギリシャをはじめとするPIGSの国々の現状、そこから波及する日本への経済的影響を考えると、もう私でさえ現実逃避したくなります。
あのギリシャの何とかっていう首相、ピーコさんが「あの人鳩山さんみたいにぶれるわねー」と言っていて笑ってしまいました。
さてその中でもTPPですが、医師会や歯科医師会は反対しています。
細かくは医療の分野でどうなるのか、私はまだ把握できていませんが、今問題となっているのは混合診療のことですね。
以前お話ししましたが、日本の医療で保険治療と自費の治療は同時に混在することは、混合診療として原則認められていません。
原則といったのは、なぜか昔から歯科だけは、混合診療みたいなものがグレーゾーンとして存在するのです。たとえば1本の歯がむし歯と歯槽膿漏にかかっていたとします。
歯槽膿漏とむし歯は保険でなおして、最後にかぶせる歯は自費でセラミックを入れる・・・・なんてことができるんですね。
こういうのは医科では認められていないと聞きます。
たとえば肺がんにかかって、同時に手術をするとします。
右の肺は保険がきかない薬で手術して、左は保険で算定する、なんてそんなこときいたことがありません。(医科のことはわかりませんが)
歯科の場合、2本治療するのに、1本保険、1本自費なんてめずらしくはありません。
ただそのような中でもここからは自費というラインが明確にされているので、混合診療という言い方とは違うかもしれませんけど。
混合診療を自由化すると、どうなるか?
患者さんには一見いいことがおこるように見えます。
しかし、そうなると世界にほこる日本の保険制度がガラガラと崩れてしまうんです。
たとえば名前のとおった先生の治療を受けたいと患者があつまります。人気になると、自費扱いにして高額の医療費を設定する先生もいるでしょう。まあそれは悪いとはいいませんが。
患者獲得のために「安いよ安いよ!」とバナナのたたき売りのように価格競争に走る先生もいるでしょう。
・・・となるとお金をもっていない患者さんは、癌にかかっても高度な医療をうけられなくなります。
安さを売りにした治療をうけたために、安全を2の次にされてしまうかもしれません。
医者が経営のためにあの手この手をつかって宣伝したり、おかしな方向へすすんでいく可能性があるのです。
医療界全体が、美容外科の戦略のようなものになっていくかもしれません。
ところで最近弁護事務所のCMが頻繁に流れていますよね。東京の事務所が宮崎までCMで・・。
あれって法律の改正で弁護士さんも大変になったからなんでしょうか?
なんとなく、医療全体が、まるで居酒屋チェーンのように旗をふったり、テレビのCM合戦をしたり、スーパーにいって内科の初診料の割引チケットがでるような世の中になったら嫌じゃありません?
TPPがそのきっかけになってしまわないことを祈ります。
ブログを書きはじめて10年以上経ちました。プライベートな事や歯科治療・地域の話題など、書いた当時は一般的だった内容や表現が今では適切ではないものもございます。過去の記事をご覧になる際は予めご了承ください。