キッスは目にして
昭和80年代のヒット歌謡曲に『キッスは目にして』というものがありました。
アメリカンオールディーズ風のヴィーナスというバンドが歌っていた曲ですね。
はい、キッスは口にしてはいけないのです!
これ恋人同士の話ではなくて、大人から赤ちゃんへの話です。
以前のこのブログにも書きましたね。生まれたばかりの赤ちゃんには虫歯の原因菌であるミュータンス菌はいないのですが、他人からうつって虫歯菌に感染するわけ。
一般に3歳くらいまでに感染しなければ、将来虫歯菌に感染しにくくなるといわれます。
3歳すぎると口の中の常在菌が安定してくるから。
虫歯菌が口の中にいなければ、虫歯にならないってこと。
しかしながら多くの人は赤ちゃんの時に虫歯菌に感染します。
家族からの口と口のキスが原因となる場合もあります。親の使った箸でそのまま赤ちゃんに食べさせることが原因になることもあります。
ですから我々の業界人は赤ちゃんの頃はできるだけ、箸の使い回しをしたり、くちにキスしたりするのはさけます。
ただ過敏になりすぎるのも考えもの。
くしゃみや咳はどうなるの?とか、他の子が舐めて乾燥したおもちゃを舐めたら?とか、幼稚園でファーストキスを奪われたら?とか、考え出すと育児のストレスになるので、そこまでは気にしなくてもOkです。
ただし、一番いけないのは、離乳食を大人がくちゃくちゃして赤ちゃんにあたえるのはいけません。
そもそも私が赤ちゃんだったらそんなの気持ちわるいし(笑)、これがもっとも感染につながります。
うちの長男10ヶ月ですので、いろんなものを舐めますし、かじります。
私もかわいいので、ほっぺにチューしちゃいます。
でも長男が私の口を舐めようとしたら「お口はだめよ!」といって拒否する私。(笑)
私の子供が小さいので、妊婦さんが患者さんんで来ると、最近は虫歯菌の感染についてカウンセリングしています。
しかーーーーーーし、そのことが思わぬ問題を生んでいることに気がつきました。
若い夫婦に、3歳くらいまでは赤ちゃんのくちにキスはだめですよ!とか、箸の使い回しはだめですよ!と説明すると親は気をつけます。
でもそれを知らない家族や友人がやってしまうわけ!
で、おばあちゃんが、くちゃくちゃやって孫にたべさせると、親は「菌がうつるからそんなことしないで!」って抗議することになります。
そうなると、おばあちゃんとしては、「私は子供をこうやって育てた。私をバイキン扱いして!!ひどい!!」なーんて揉め事になるのです。
じつはそんなもめ事が世間ではかなり多いようで、ヤフー知恵袋でもその手の質問がかなりありました。
これとか↓
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13118933483?fr=top_mantenna
これね↓
歯科医としては、親に虫歯菌の感染を説明するとともに、それ以外の家族に最初から話をしといてもらったほうがいいんだろうなと思います。
口へのチューと、箸のつかいまわし、自分が噛み砕いたものを赤ちゃんに食べさせるという行為にかんしてだけはやめてね!と。
やったあとに抗議すると、嫁姑の関係は険悪になりますからね。
だから『キッスは目にして♫~』お口はやめて!
・・・・・・っていう話。
追記:本当に目にキスして目が腫れても責任はもちませんので、あしからず。
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