仕事のやりがいとストレス
大阪の南先生が「ストレスとか思ったらあかん、ストレスと思うからストレスになるんや!ストレスとか、疲れたとか口にださんほうがええ!」とおっしゃっていました。
たしかに赤ちゃんはストレスという言葉を知らないわけで、ストレスという定義を大人が教えるから、だんだんと「これはストレスだな」とか「ストレスがたまるなぁ」という発想になるわけです。
ストレスが溜まりそうだと考えることでストレスが倍増されていくのです。
だから「ストレス」とか「疲れた」という言葉を発してはいけない!ということなのです。
・・・・・・とはいっても、わたくし、賢人でも聖人でも哲学者でもありませんので、ストレスはたまりますし、「疲れた!」も連発します。
前言ったように、誰かの前で「疲れた!」といって聞いてもらうことでストレスを発散している部分もあるんでしょうけど。
ストレスという定義をあえてつかうとするなら、この歯科という仕事はとてもストレスの多い職業だと言われています。昔はミリ単位の治療をしていたのが、最近は顕微鏡下でのミクロン単位での治療が求められるようになりました。
腰痛持ちの歯科医師は多いですし、時には患者さんからクレームもいただきます。メスを使えば緊張しますし、泣き叫ぶ子供さんをなだめなければいけません。毎日毎日いろんな患者さんの唾液をたっぷり浴びるし、観血的処置でさまざまな感染症から自分がうつらないように気をつけなければいけません。
やっていることと価格が割にあっていないこともしばしば。
日本の歯科治療のほとんどは保険をつかった治療なのですが、その報酬は数十年前をたいして変わっていないのです。それでいて新しい機械や材料を導入やセミナーや学会の出席を辞めるわけにはいきません。
保険治療の中には、その治療をするだけで、材料代や技工料金などのほうが高くなってしまって、やればやるだけ赤字になるものもあります。
ですから、都会の歯科医師のなかには、保険治療をいっさいやらずに、すべて自費治療でやっている先生もすくなくありません。保険治療によるコストというストレスから解放されるわけですね。
もちろん、自費ですべてやるということは、患者さんの費用負担はおおきくなります。
そして歯科医側は責任も大きくなり、いろいろな部分で、質の高いものを提供しなければいけなくなります。(接遇や院内清掃も)
ということは、コスト管理というストレスからは解放されますが、プレッシャーという新たなストレスがでる可能性もあるわけ。
今は知りませんが、一昔前、アメリカで自殺率がもっとも高い職業はずっと歯科医師だったんです。
まあアメリカは訴訟社会ですから、なんかあっただけで、すぐ訴えられてしまいますしね。
なんせ、マクドナルドで紙ナプキン1枚しかもらえなかったからと1億5千万の訴訟起こすくらいですからね(涙)←今年3月のニュース
ストレスを解消する方法は人それぞれ。
運動や、趣味だったり、旅行や、グルメなど・・・。
私の場合は、がんばった後のビールとワインそしておいしい料理。
それからときどき行く家族旅行。
・・・なのですが、今日は意外なところでストレス解消というか、すがすがしい気持ちになりました。
私が勤務時代の前のクリニックから診ていた患者さんのH君。
たしか3~4歳頃がはじめてで、今17歳。最近は代診の先生が診ていたので久しぶりに会うと随分変わっていました。かなりイケメンになっていたんですよ。メガネだったのが、コンタクトになり、おしゃれにも気をつかいだしたようで。
昔はやんちゃで子供っぽい子供だったんですが、もう立派な青年という感じ。
口の中も虫歯などの問題もなく、綺麗でした。歯並びも綺麗で、言うことなし。
考えてみるとアクアにいらっしゃってる患者さんの中で一番長いあいだ見させてもらっている患者さんです。
成長し、歯もきちんと管理されていること、このことが私すごく嬉しくて、疲れやストレスがふっとんでしまいました。
削って、埋めて、抜いて・・・・というのが歯科医の使命ではなく、悪くならないように動機付けをして、予防をし、子供のころから死ぬ直前まで、歯で困ることがないようにしていくことが使命なんだとつくづく思います。
患者さんの治療がうまくいって、喜んで貰えることが、私のの最大のストレス解消法であり、仕事のやりがいかもしれません。
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