日本の歯科医師と歯科医療事情:③医科、歯科
2015年現在、
歯科以外の、医科の初診料は ¥2820 再診料は¥720
歯科は 初診料¥2340 再診料は¥420 です。
患者さんに口内炎で来院されたとして、軟膏をだすとします。おなじことをしても歯科医院と内科とでうけとる報酬が違うのです。初診料だけで480円違いますから。
多くの患者さんがこのうち3割を自分で支払います。歯科だけがこれだけ報酬が少ないんですね。
なぜこうなのかは、わかりませんが、ある人は「政治力が弱いから」だとも言います。
勿論政治力をあげるために、迂回献金などもってのほかですが・・・。
2016年度 国は医療業界全体の診療報酬をさげることを決定しました。
医療にかかる国の医療費のうち歯科はわずかに全体のに6%(だったと思う)にしかありません。
いくら消費税をあげようともおそらくは、今後診療報酬が大幅に増えることはないでしょう。
歯科医療と歯科の患者さんにとってこれは何を意味するのか?
単に私たちの収入がへるということではなく、結局患者さんにそのつけがまわってくるかもしれないということです。
来年からいままで歯科で保険が適用できなかったグラスファイバーの材料が保険適用になります。
患者さんからするととってもいいことのように思えますね。
今回の保険改正ではそれ1本が890円(の3割が患者負担)になったのです。ちなみにこの材料費は、接着剤代金や表面処理の薬剤などをいれると、1000円から1500円くらい
原価率は130%~170%ちかくになってしまいます。
どの業界もそうでしょうが、材料費はお客さんからいただくお金の25%~30%までにおさえないと、お店はやっていけなくなります。
つまり1000円のランチは材料費300円くらいまでにしないといけません
この材料をつかうときは神経つかうので時間も結構かかります。ちゃんとやらないと気泡がはいったり、装着後すぐ脱離してしまいます。
なのに
材料費も大赤字ですし、経営のことを考えたら、手間暇かけられない医院が多いはずです。
だから来年保険でこの材料をつかってのトラブルがかなりふえると思うんですよ。
接着剤や表面処理剤をきちんとやらない医院がふえても仕方がないのです。いままで自費だったものを原価割れするような価格で保険に組み込むことは、歯科医院の経営を圧迫するだけではなく、患者さんに粗悪な治療を提供してしまう可能性があるのです。
話はかわりますが、C型肝炎の特効薬が保険で承認されとのをご存知ですか?
『ハーボニー』といわれるものです。
これをつかうとほぼ確実に100%ウィルスを死滅出来るのだそうです。
この薬代はなんと 1錠 約80000円
これを毎日12週間のみつづけないといけないのだそうです。
つまり一人あたり 約 672万円もかかるのです。
患者負担をへらすためにひと月の上限を最大2万円にするらしい。患者さんの負担金の総額は10万円以下で、残りの665万円くらいは国が負担するというもの。
現在日本には30万人以上のC型肝炎患者がいると言われています。
医療費縮小がさけばれるなか、C型肝炎の治療だけに数兆円の予算を使うことが本当に正しいことなのだろうかとおもってしまいます。
C型肝炎の患者さんには、ありがたいことでしょうけど、それ以外にも高額の医療費のかかる大変な病気でこまっているひとが山ほどいるのに・・・・。
医療費配分の不公平さは、たんなる政治力の差ということだけでなく、なにやら大人の事情がからんでいそうで・・・・・・。
つづく
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