日本の歯科医師と歯科医療事情⑤:がんばっているんだけど・・・
なぜ私がこんな長々と、歯科の内輪ネタを書いているか・・・。
「歯科医ってのは日本では人気がないけど、海外では人気職業なんだぞ!!!」
・・・・・なんてことをいいたいのではありません。
日本の歯科の先生たちは、ほんと頑張ってるんですよ。ありえないほど安い報酬で。
少なくとも私がふだん交流ある先生や、しっている先生たちは、
「いい治療をしたい!」
「むし歯を減らしたい」
「歯をなおして健康になってもらいたい」
「患者さんによろこんでもらいたい!」って真剣に思っているんです。
だからこそ、むし歯を減らすためのフッ化物(フッ素)の普及活動や、ボランティア活動を休日にしたりするのです。
なのに、歯医者っていうと、
金儲け主義だとか、
脱税してそうとか、
ぼったくり
数がふえてもうからなくなった
コンビニより多い
むし歯がへって、患者がへり経営が大変
などという負のイメージばっかりなんです。
皆、毎年多大なお金をつかって学会やセミナーにいって、少しでもいい治療しようと努力しているんですけどねぇ。
患者さんから「ここに来てよかった!ありがとう」って笑顔で帰る時が一番うれしい時なんです。
治療によっては、原価率が100%(つまり1000円の治療費で1000円の材料費がかかるということ)をこえるものもたくさんありますが、だからといって、怪しい国の安価な材料を使うわけにはいきません。採算がとれなくても、利益を最優先にはできないのです。
居酒屋さんで、もしお刺身用の魚が売れ残ったら、きっと煮物にしたり、次の日の 御通しにきっと利用するでしょう。
野菜の葉っぱが残ればそれも手をくわえて いわゆる『あますところなく』食材をつかうでしょう。
でもわれわれはそういうわけにはいきません。あっこの材料あまったから、それを使い切るような治療にしよう!なんてことになったら嫌ですよね。材料優先で治療内容が決まるのって。
ただ私たちがどんなにいい治療しても、その治療の質を患者さんが理解してくれないことも多いわけ。
「この治療は保険がききません!自費です!10万円です」って言われた時にちょっとびっくりするでしょ?
でもあれって、その治療をやった時に、材料費や加工費、人件費などを計算しての値段であって、世界的に見た場合の標準価格であることもしばしば。
外国で歯石とると3万円とか、
歯を抜くと5万とか、10万円とか・・・。
日本は保険制度があるから安いんじゃないですよ。多くの患者さんは医療費の3割しか負担しなくていいから日本は安いとおもっています。違うのです。
保険の評価額が低く設定され、歯科医の報酬がすくなく設定されているから安いのです。たとえば同じ治療内容でも、アメリカの歯科医は20万円うけとれるのに、日本の保険治療では1万円しかもらえないのです。
あっ、今年、政治資金の関係で、歯科の業界がものすごくたたかれました。
あのあと、ほかの職種の団体が3つくらい同じようなことで摘発されたそうなんですが、ほとんど報道もされませんし、皆しりませんよね。
いや、悪いことなんでしょうけど、なんで、歯科ばかり鬼の首をとるようにたたかれるんでしょうかねぇ。歯医者いじめですよ。
私はそういう裏の政治のことはよくわかりませんが、ますます、歯科のイメージは悪くなっていく・・・。
来年の保険点数変更も、きっとさげられるんだろうし。
悲しい。皆、がんばっているのに・・。
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