歯磨き新情報の嘘
情報が反乱する現代社会、
歯科の情報も毎日のようにながれますが、うさんくさい極論も多いです。
その一つが、「歯磨きは食後すぐしたらだめ!30分くらいしてからみがきなさい!」というもの。
これをいいはじめた理由は
食後は、口の中が酸性になっており、歯が溶けやすい状況になっているので、その状態でごしごしこすると歯がけずれてしまうから、食後30分くらいして中性になってからみがいたほうがいいというもの。
これ本当におバカな理論
試験管での実験、理論上だけでかたっているおバカな話。
全く応用がない考え方ですね。この件は完全に小児歯科学会が公的に否定して、「今迄通り食後すぐみがいてかまいません」と回答しています。
試験管と口の中何が違うでしょうか。その最大の違いは、魔法の液体、そう『唾液』の存在です。
もし、30分以内に磨くと歯がけずれてなくなっていくなら、きっと、30年以上いきている世界中のひとの歯はなくなっているでしょうよ。さらに食べている最中に口の中は酸性になっているわけだから、長時間かけて食事して、その中にはきっと歯ブラシの毛先より堅いものはたくさんありますから、どんどん削れてなくなるはずです。
はい、食後30分してから歯ブラシしないといけないと思っている方は、居酒屋に20分以上滞在してはいけません。ビールやハイボールなんてただでさえ酸性の飲み物をたらふく飲み、軟骨なんて食べた日にゃ、歯がなくなってしまうから・・・・。2次会なんていってはダメです。それからお昼休みが1時間しかないサラリーマンの方、ランチ後30分してから磨いてくださいね。休憩時間おわっているでしょうけど、上司に「30分してから歯磨きしないといけない!」といわれたと主張して、勤務時間に歯磨きしましょう。
30分後の話・・・・・・私の周囲ではほんとにくだらない馬鹿げた新情報だと言われています。テレビでこれを語っている歯科医師をみてもがっかりしてしまいます。
もう一つ。おバカな新情報
『歯磨き前に歯ブラシを洗ったらいけない!』
歯ブラシを洗ってから磨くとその水で歯磨き粉の泡立ちが多くなり、口の中が泡だらけになるし、すっきり感が先行して、きちんと磨けないから・・・・・というもの。
うーーーーーん、これも全くおバカな話。
多くの人が歯ブラシを濡らすのは、歯磨き粉ののびをよくするためもあるかもしれませんが、もう一つ、歯ブラシを洗いたいからでしょ?
個人的には歯ブラシは多少洗った方がいいと思いますよ。
磨きおわったあとの歯ブラシの毛先にどんだけ菌がついていることか。前の日の晩つかった歯ブラシは、湿気の多い洗面所においていることもあり、朝になっても少し湿っていることが多々あります。その菌は一晩でどのくらい繁殖するんでしょうねぇ。
その菌で、病気になるかどうかはわかりませんが、まあ心情的に気持ち悪いですよ、すくなくとも私は。
歯磨き粉の泡立ちを防ぐためなら、使用前に歯ブラシあらってから、ラーメンの湯切りのようにふるとか、ティシュでかるくふけばいいはず。
それから私個人的には、患者さんの歯磨き指導のときに、最初は歯磨き粉も何もつけなくてみがいて、汚れが取れた後に歯磨き粉などをぬって、その塗ったものをすべて流してしまわない程度のかるいうがいをしてもらうように指導しています(そのあとフッ素ジェルをぬったり、フッ素うがいをしていただきますが)
そもそも、同業者、あまり歯磨き粉自分自身にはつかわない人も多いんです。
はい、最初に歯磨き粉を使わないなら、別に歯ブラシがあらった水でびしょびしょでもいいじゃありませんか。
下の写真は、歯ブラシの毛先を拡大したもの。へんなのは全部細菌です。
ご主人に日ごろのうっぷんをはらしたいと思っている奥様、
たぶんお弁当のおにぎりに、使用済みの歯ブラシを一瞬ちょんとつけだけで、きっと食中毒になれる菌の培養、繁殖に成功しますよ(絶対にそんな真似しないでください、たとえです、例え。笑)
これみると歯磨き前に歯ブラシ濡らしたくありません?ご婦人方。
目先のことしか、みえていないくだらないおバカな新情報にはくれぐれもご注意を。
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