週刊ポ○トの記事(長文です)
7月8日号 7月15日号,7月29日号と
トップ記事となっていた歯科のはなし。
いやーーー、久しぶりにとんでもなくひどい低レベルの記事で、笑っちゃいました。
歯科の話って1年になんどか定期的に報道されます。
アカデミックな話とか、いい話ではないですよ。
歯医者=悪人
北野武のアウトブレイクの宣伝文句みたいに
「全員悪人」というような 性悪説の話です。
記事のキャッチコピーが
「業界タブーを全部書く。やってはいけない歯科治療」ですって。
「ほうほう、業界タブーねえ。私も聞いてみたい。」・・・で買いましたよ。
この類の記事って歯医者=悪ということを前提に書くので、例えば悪の頂点にあるような歯科医院がやっているようなことを、さも業界の全体がやっているように書いてあるんですね。
まるで犯罪をおかしたひとが1人でもいると、その町の人全員犯罪者扱いするかのように。
記事にはかなり突っ込みどころ満載だし、大盛に盛っているし。
載っている歯科医師がいうには
勤務歯科医は、ちゃんと治すと再治療がへって儲からず、上司に怒られるから、むし歯は取り残しするんです。とにかくできるだけ手間暇をかけず、たくさん患者さんをみて利益をあげないといけない。その当時私の年収は2200万円でした。ですって。
いやあ、普通の勤務医で2200万円の給料っていうのもありえないし、万が一本当だとしたら、普通1時間かかる治療を、5分~10分で終わらせないと絶対にそんな給料もらえる数字あげれるはずがないですもの。
この話はうそであったほうがいいですが、本当だつた場合、手間をかけずに2200万円かせいでいた治療のクオリティを考えるとそっちのほうがよほど恐ろしいです。
ほかには、レジン(白いつめもの)は手間がかかり、儲からないから日本人歯科医は、点数の高い銀歯にしたがる!って内容。
いや、レジンでできる治療なら、レジンでやりたいっていう歯科医のほうが多いと思うんですけど・・・。銀歯のほうが材料費と加工費などコストがかかりますしね。
そのほかにもひどい内容がたくさん載っていました。
【〇〇院長は、他院で抜かないといけないといわれた歯でも、根管治療と呼ばれる手法で治す】らしい
Oh my god!!
なんだその 根管治療と呼ばれる手法は??????
STAP現象のような画期的な治療なのか???(笑)
まともな歯科医師ならこのシリーズの記事見て、ばかばかしくて笑ってしまいますよ。
半分くらいは、盛りたしと極論ですね。
もう少しちゃんとお勉強してから記事書いてほしいものです。
物事の2面性や本質がまったくみえていません。
たとえば「歯科医師は、抜かなくてもいい歯を、儲けるためにどんどん抜いている。そしてインプラントをいれて儲けている」
なんて書かれています。
抜かない歯科医師なんて人も紹介されています。
こういうバカげた記事を書くと、患者さんが混乱して最終的に患者さんが一番損するんです。
例えば、歯を抜くとして
抜かないことで後に生じるメリットと 抜くことで生じるメリットが
五分五分だったら、個人的にはぬかない選択肢もありかなと思います。
抜かない!という歯科医師のほうが、患者さんの支持率は高くなるわけです。
これ消費税と同じですね。あげないという政治家のほうが人気はあがりますが、将来をかんがえるとあげざるを得ない状況。
今すぐにでも増税しなければいけないのに、選挙がらみで先延ばしにしたことも過去多々あります。
抜かないといけないような歯をそのままにしていたおかげで、とんでもない結果になってしまっている患者さんがおおぜいいます。
あごの骨が過度になくなってしまったり、抜かないで矯正したためにお金と時間をたくさんかけたのに歯並びがまったく改善できなかったり・・・。
抜かないのと 抜くのとのメリットを比較して 抜かない:抜く=30:70とか、 20:80だったらやっぱり抜くことを考えるべきなのです。
患者さんは事前によく説明を受けるべきなんです。
すべての選択肢を。
抜いた後インプラントにするのか、入れ歯にするのか、ブリッジにするのか、なにもしないのか、などなど。
どれをえらんでも利点欠点はかならずあります。安くて、長持ちして、見た目もきれいで、違和感なく、体によいなんてものは存在しません。
説明を受けたうえで最終的にどうするか決めるのは患者さん本人です。絶対に抜いたほうがいい歯であっても、患者さんが望まないのであれば、仕方がないのです。
その結果として、治療費が高額になったとしても、それはけっして悪いことではないと思います。
たとえ3倍の値段がしても、中国産の野菜ではなく、無農薬の国産野菜を買う人はたくさんいます。
歯周病の船越先生はおっしゃいました。
「この世に、安くて最高のものはない。やすくてそこそこのものはある。最高のものを買おうとおもったら絶対に値段は高額になるんだ!」と。
残念ながら、世間にでまわっている歯科の報道って、半分くらいは極論や間違いばかりです。真実かどうか、一般人にはわかりませんし、時には歯科医師さえも真相さだかではない情報もでまわります。
いつも思うのですが、
「歯科はコンビニより多くて、食っていけず、歯医者は貧乏になっている」とか、
「儲けにはしるために、ひどい治療をしている」なんていう話を
ちょくちょく報道するのですが(嘘が多い)、そもそもみんなそんなに興味あるんでしょうか?
実は歯科のこういう話をかくと雑誌はすごく売れるのだそうです。
なぜって?
歯科関係者が買うからです。事実私も、全部買いました(笑)
いやどういうことを書いているかしらないと、患者さんの誤解をとくことができないからです。
本がうれない時代に、歯科関係者の一部が買うだけで、何万分も部数がふえるのです。
だから、悪意のある嘘や、一部の歯科医の悪行を業界全体の悪のように報道して、売り上げをのばそうとするのです。
インプラントをいれてこんなに良かった!人生が変わった!なんていう記事をかいても雑誌の売り上げはきっとのびないでしょうからね
これからも歯科の悪意ある報道は、定期的にあるでしょう。
でもほとんどの歯科医師は、先日述べた通り、倫理観をもち一生懸命やっています。
歪曲された報道に患者さんがまどわされて、悲惨な結果にならないことをいのります。
ブログを書きはじめて10年以上経ちました。プライベートな事や歯科治療・地域の話題など、書いた当時は一般的だった内容や表現が今では適切ではないものもございます。過去の記事をご覧になる際は予めご了承ください。